設計の考え方


 設計でいちばん重要な部分とは何か?ということを考ると、

デザインを良くする、日当りを良くする、部屋を広くするなど、表面的な部分が思い浮かびやすいと思います。

 

 しかし、私がいちばん重要と考えるのは「動線」です。

 

 これは人が生活や執務を行う上で、部屋から部屋へ行き来するルートのことを言い、このルートが長いと人はストレスを感じるのです。

 

 たとえば、2階建て住宅の1階にお風呂を設けた場合、脱衣場で服を脱ぎ、洗濯機に脱いだものを入れお風呂に入る。そして洗濯機を回す。

 

と、ここまでの動線は短くて良いのですが、もし干す場所が2階のバルコニーしかない場合どうでしょうか。

 

 重い洗濯物を持って、階段を登りバルコニーで干し、洗濯物が乾くと、寝室が1階にあれば、また2階から洗濯物を寝室のクローゼットまで持って降りないといけない。

 

 これを筋トレとポジティブに思える方は全然いいのですが、ほとんどの方はそのように思うことは無いでしょう。


建物が出来上がって気づいてももう遅いのです。


 プランニング段階でしっかり生活の仕方、将来どのように変化するのかを考えていかないといけないのです。

 

 それからもうひとつ私が設計するときに考えるのは、「自分が住みたいか」「自分が使いたいか」ということです。

 

 それは、自分が住みたいと思えるということは、この建物をどう使いどう変化していくのかを思い描けているから。


その思い描いている生活スタイルをお客様に伝えることができると確信しているからなのです。

 

 デザインも重要な部分ではありますが、一番重視することを設計者とお客様で共感し合い、譲れるところ、譲れないところを明確にできれば、必ず最高の建物が出来上がることでしょう。